こんな方におすすめ
- 放送業界でお仕事をされている方
- ロケ用ミキサーを新たに購入されたい方
- 幅広い収録場面で活躍する、小型のミキサーを購入したい方
シグマシステムエンジニアリングのSS-444とSS-446を8chミキサーとして使用した件
シグマシステムエンジニアリングから新たに発売された4chミキサー、SS-444とSS-446をドッキングして8chミキサーとして使用することが出来ました。
SS-446が発売されてまだそれほど出回っていないこともあり、使用したこともない方も多いのではないかと思い、今回記事にさせていただきました。
結論から言うと、非常に使いやすいミキサーになっていると思いました。
ロケ用の8chミキサーとしては、KS-342(SS-342)+SS-6001の組み合わせが主流だと思いますが、いままでできなかったことが可能になっている新しい時代のミキサーとなっていたのには驚きました。
早速レビューしていきたいと思います。
SS-444とSS-446のドッキングについて
SS-444とSS-446をドッキングし、8chミキサーとして使用することができます。
ドッキングの方法については、以下のとおりです。
- SS-444とSS-446の右サイドのREMOTE(RJ45コネクター)をLANケーブルで接続する
- もしくはSS-444とSS-446の右サイドのREMOTE(RJ45コネクター)をイーサコンケーブルで接続する
たったこれだけです(笑)
めちゃくちゃ簡単で、シンプルな作業になっていますね。
ちなみにSS-446の電源はSS-444のLANケーブルから供給することができるため、使用中にSS-444と446両方のバッテリーを心配する必要はありません。
ただここでひとつ注意点があります。
注意ポイント
SS-444とSS-446はケーブル1本でつながっているため、本体同士を固定する必要がある
SS-444とSS-446は、KS-342+SS-6001のときのように、本体同士が固定されているわけではありません。
そのため本体同士を固定するための、専用ストラップを使用するのをおすすめします。
専用ストラップは別売りとなっているため、必要であれば購入する必要がありますのでご注意ください。
SS-446のディスプレイからEQ、コンプ、BUSアサインなどの操作が可能
SS-444とSS-446をドッキングして使用することで、さまざまな操作をSS-446のタッチパネル上から行うことが可能になります。
ディスプレイ上からできる操作内容
- ミキサー内の設定を、大きなディスプレイから確認可能
- 入力に対するアサイン替えをタッチパネルで設定することができるので簡単
- 入力に対するEQやコンプレッサー、フィルターの値を簡単に確認・設定することができる
ドッキングした8chミキサーは非常に操作性がよく、SS-444を単体で使用する場合よりも大きなカラーディスプレイで設定を行うことができるので便利です。
上記の画像をご覧いただくとわかるように、SS-444のディスプレイは非常に小さく、設定の確認が難しいです。
しかしSS-444とSS-446とドッキングすることで、SS-446の大きなディスプレイから設定画面の確認や操作を行うことが可能になります。
これにより操作性が格段にアップするため、もし間違った設定を行っていたとしても簡単に気づくことができます。
SS-444単体で使用するよりもSS-446とドッキングして使用する方が確実な設定を行える、というのはメリットですね。
出力はSS-444、SS-446両方が使用可能
SS-444とSS-446をドッキングした場合、出力はそれぞれの本体からそのまま出力が可能です。
出力については、以下のとおりです。
SS-444の出力について
- MAIN1,2:XLRアナログアウト(+4,0-20dBから選択可能)
- SUB3,4:XLRアナログアウト(+4,0,-20,-60dBから選択可能)、AESアウト兼用(使用するときは内部で設定の変更が必要)
- MONI:3.5ステレオminiアウト(-20dBu固定)
- SUB 1/2,3/4:3.5ステレオminiアウト(-10dBu)
- ヘッドホンアウト:1つ
SS-446の出力について
- AES OUT:2つ(BNC OUT 1,2)
- ヘッドホンアウト:1つ
選択できる出力のBUSについてですが、M1~4がそれぞれで選択可能となっていました。
多チャンネル収録を求められる現場であっても、ミキサーからの出力や作成できるBUSが以前よりも増えているため、さまざまなニーズに対応しやすくなっていて良いと感じました。
AES,WORDでの外部機器との同期が可能
ポイント
AES、WORDをAES SYNC INに入力することで同期が可能。
KS-342には無かった機能として、外部同期信号による同期が可能になりました。
AESもしくはWORD信号を、BNC入力に入力することで同期を取ることができるのはメリットですね。
SS-446で簡単にマルチ収録が可能
SS-446にはCFカードおよびSDカードを入れるスロットが装備されており、メディアでの収録が可能となっています。
詳しい内容については、以下のとおりです。
レコーダー | |
ファイルシステム | FAT32 (FAT16) |
保存形式 | BWF-J (RIFF WAVEフォーマット) |
音声データ形式 | リニアPCM信号 |
運用メディア | CFカード、 MicroSDカード |
CFやMicroSDカードを使用すれば、簡単に音の収録が可能です。
ポイント
MicroSDカードは32GBまで運用可能
MicroSDカードは32GBのものまで対応しています。
収録できる音声は4トラックとなっており、収録するBUSの選択が可能です。
収録できるBUSについて
M1~4
上記以外のBUSについては、現在確認中。
ロケ収録の現場でも、演者それぞれの声(マイクの音)をパラで収録して欲しいという要望はすごく増えています。
そのため同録のカメラにはMIXの音を送り、アンプ上でパラ収録を行うことのできるSS-446は非常に便利です。
SS-446での録音方法について
SS-446での録音は非常に簡単です。
フロントの右上にあるRECボタンを押すとすぐにRECが開始され、設定したBUSの音を収録することができます。
ボタンを押した瞬間にRECが始まるのはメディアならではのメリットですね。
ポイント
万が一カメラに入力している音にトラブルがあったとしても、バックアップで収録しておけば救うことができるので安心。
メディアへの収録を行っておけば、万が一カメラに収録している本線にトラブルがあったとしても、救うことができるかもしれません。
収録でトラブルも無く、メディアの音が必要なくなったらフォーマットして消去すれば良いだけです。
非常に簡単な作業で大きな安心を得ることができるので、SS-446で気軽に録音できることは非常に大きなメリットだと言えると思います。
OSC(オシレーター)の出し方は注意
SS-444とSS-446の8chにおいて、OSC(オシレーター)の出し方は注意が必要です。
その理由については、以下のとおりです。
注意ポイント
シグマの新型ロケミキサーでは、出力するBUSに対してOSCを出すことができない
SS-444、SS-446ではBUSアサイン(M1~4)に対してOSCを出すことはできません。
これは大きなデメリットになります。
デメリットの理由としては、以下のとおりです。
シグマのデメリット
シグマの新型ミキサーでは、OUTPUTを任意で選択することが可能。
そのため、送り先(収録するカメラやVTRデッキ)に対して正しいBUSアサインが送られているかのチェックを行いたい。
しかし現状では、BUSのアサインに対しての1k(基準信号)を送ることができない。
シグマの新型ミキサーではBUSアサインに対してOSCを出すことができないので、送り先に対して正しいアサインが行っているかどうかのチェックを行うことができません。
そのため、以下のようなチェックの方法を行うことになります。
- OSCスイッチを入れてOUTPUTすべてに1Kを出力する
- OUTPUTのBUSアサインをOSCに切り替えて、1Kを出したあとに本来のBUSアサインに戻す
OUTPUTに対して一括でOSCを出す、もしくはOUTPUTのアサインをOSCに切り替えて1Kを出してチェックしたあと、本来のBUSアサインに戻す作業のどちらかが必要になります。
まとめ:あると便利な機能、全部入りのロケミキサー
以上が、SS-444、SS-446のドッキング8chミキサーについてのレビューになります。
KS-342はすでに販売が終了しており、徐々にSS-444への移行を行っているプロダクションも多いと思います。
この機にSS-444とSS-446を導入し、幅広いロケ収録に対応されてはいかがでしょうか。
SS-444シグマ公式サイトはこちら
SS-446シグマ公式サイトはこちら