こんな方におすすめ
- 自宅でのレコーディングをされる方
- YouTubeでの音声収録の質を上げたい方
- ニコ生などの放送用ミキサーを探している方
TASCAM(タスカム)のアナログ12chミキサーModel 12実機レビュー
今回TASCAMのModel 12を触る機会があったので、レビューしていきたいと思います。
小さなアナログミキサーでありながらSDカードにマルチ収録ができたり、スマホやタブレットとBluetooth接続が可能だったり、内蔵のエフェクターを搭載していたりと非常にマルチに活躍できるミキサーになっています。
それでいて価格が7万円台と破格な商品で、いったいどんなミキサーなのか非常に楽しみです。
Model 12の付属品について
まずはModel 12の付属品から、見ていきたいと思います。
付属品について
- 取扱説明書
- ACアダプター、ACケーブル
- 4極ー4極の3.5mmケーブル
- USB Type-CーUSB Type-Aケーブル
4極の3.5mmケーブルは珍しいですね。
たしかに、Model 12にはスマホのプラグとミキサーを直接つなぐ端子が用意されています。
Model 12の外観について
しっかりとした重さのミキサーですが、サイズ感は非常にコンパクトな物になっていました。
運搬などする際も非常に楽に行うことができますし、狭い場所でも設置することができるサイズはいろいろな場面で活躍してくれそうです。
サイズと重さ
- 質量:4.3kg
- サイズ:343(W)×360(H)×98.8Dmm(サイドパネル、突起部を含む)
Model 12のサイドパネルについて
サイドパネルには初めから木の側が入れてありました。
Model 12を運搬する際にここを持ち手にすると触り心地がよく、快適に移動させることができるので良いですね。
Model 12の電源について
電源はネジによるロックが可能なタイプで、スイッチが付いていました。
ACアダプターの出力は最大36Wとなっており、消費電力は公式によると16Wとのことでした。
電源について
- 消費電力:16W
- 動作温度:5~35℃
- 電源:AC 100~240V、50/60Hz
Model 12の入出力について
Model 12の入出力についてですが、端子類は卓の裏面に集合しています。
入力はXLRとTRSのコンボジャック、出力はXLRからメインアウト、TRSでサブアウトとAUXが2つあります。
Model 12の入出力
- MIC IN:CH1~6、7、9(XLR端子)
- LINE IN:CH1~6、7/8、9/10(TRS標準ステレオジャック)
- MUSIC:4極ミニジャック(スマホ、タブレット用)
- OUTPUT:MAIN L/R(XLR)、SUB OUT L/R(TRS)、AUX1・2(TRS)
またUSB Type-C(USB2.0)で接続することにより、パソコンでのマルチ収録やDAWでの編集が可能となります。
Model 12の+48V(ファンタム)について
Model 12はコンデンサーマイクを使用するための+48V(ファンタム)電源を供給することが可能です。
本体右上にPHANTOM+48Vのボタンがあり、押すとLEDが光ります。
そうするとModel 12のディスプレイ上に「+48V入れてもいいですか?」という確認画面が表示されるので、OKを押すとファンタムが入ります。
押した瞬間にファンタムが入るのではなく、一度確認画面が出るのは誤動作防止となっていていいですね。
注意ポイント
+48V(ファンタム)スイッチを入れると、入力チャンネル(1~6,7/8-9/10)が同時にオン/オフとなります。
ファンタムを必要としないマイクや機器を接続する場合は、+48V(ファンタム)スイッチにしないように!
+48V(ファンタム)は入力チャンネルに対して一括でかかってしまうため、コンデンサーとダイナミックマイクを混在させてしようする場合は注意が必要です。
Model 12のHAについて
HAについてお伝えします。
HAの値について
- MIC入力だと、0~-50dB受け
- LINE入力だと、-10~+40dB受け
上記の写真はXLR端子に-20dBOUTを入力した際のHA位置となっており、表示通りの値となっていました。
また信号が入力されるとSIGのLEDランプが点灯するので、分かりやすいですね。
MKH-416Pを接続してみた
Model 12にMKH-416を接続しファンタムをかけて生かし、HAを上げていくとだいたい-40dBくらいの位置に収まりました。
音質については安価なミキサーのためどうかな?と思っていたのですが、ヘッドホンで聞いた感じだと悪くない音質でした。
XLR端子にLINEレベルを入力してみた
放送業界でよく利用するXLR端子で、どこまでの高いレベルが受けられるか実験してみました。
結果は以下のとおりです。
送りのレベル | XLR端子に接続 |
+4dB | 歪む |
0dB | 歪む |
-20dB | 問題なし |
XLR端子だとやはり0dBほどの高いレベルを入力すると歪んでしまい、使うことができませんでした。
高いLINEレベルは、TRSの端子に入力して使用するしかないようですね。
Model 12のCOMP(コンプ)について
COMP(コンプ)についてですが、値がOFF~MAXと表記されており正直よくわかりません。
MKH-416を接続して試してみたところ、ピークで0以上で歪まないようにかけるには、だいたい10時くらいまでつまみを上げると丁度よかったです。
それ以上上げてしまうと音が詰まってしまってCOMP感がかなり出てしまいました。
コンプのThresholdや比率の変更はできないようですが、アナログのつまみでかかり具合の微調整を行うことはできるので、操作性はいいなと感じました。
Model 12のEQについて
Model 12のEQについては3バンドのEQがついており、内容は以下のとおりです。
EQのポイントと値について
- LOW:80Hz(±15dB)
- MID:100~8kHz(±15dB)
- HIGH:10kHz(±15dB)
EQのかかり具合についてですが、結構しっかりかかる印象でかなり追い込めそうでした。
つまみもアナログ・ミキサーならではの操作性で、非常にいい印象を受けました。
Model 12のフェーダーについて
Model 12は7万円台の安価なミキサーであるにも関わらず、フェーダーは少し重めのしっかりとした質感となっていました。
安いミキサー特有の軽すぎて微調整が出来ない感じも特になく、しっかりとしたフェーダーフォローが可能となっています。
これならレコーディングやトーク番組などでの使用も十分可能で、満足いくフェーダー操作ができると感じました。
Model12のAUX送りについて
Model 12はAUX送りが2系統あります。
基本はエフェクター用といったところでしょうか。
フェーダーの1~6、7/8、9/10の全てでAUXを選択することが可能となっています。
AUXのマスターについて
AUXのマスターつまみは表に出ており、MUTEボタンやAFLボタンがあります。
ヘッドホンでの検聴についても、MAINとAUX1/2の切り替えが簡単に行えるのもいいですね。
Model 12のエフェクターについて
Model 12には、エフェクターが16種類内蔵されています。
Model 12の内蔵エフェクター一覧
- HALL 1
- HALL 2
- ROOM 1
- ROOM 2
- PLATE
- STUDIO
- LIVE
- DELAY 1
- DELAY 2
- PING PONG
- CHORUS
- FLANGER
- DELAY+HALL 1
- DELAY+HALL 2
- CHORUS+HALL 1
- CHORUS+HALL 2
フェーダーや送りのつまみが表に出ているため、直感的な操作が可能となっているのは良いですね。
Model 12のディスプレイ画面について
Model 12にはディスプレイ画面が搭載されており、さまざまな画面を確認することができます。
あまり深いところの設定やシステムまでは確認しておりませんが、以下のようなことが行えました。
ディスプレイについて
- Inputのピークメーターの確認
- SDカード収録の音の振れの確認
- Model 12の設定についての操作
カラー表示ではないのが欠点ですが、ディスプレイでの確認や操作が行える点は非常に良いと思いました。
Model 12のSDカード録音について
Model 12では、SDカードを使用して録音を行うことができます。
以下、SDカードの仕様についての一覧です。
レコーダー部 | |
対応メディア | SD (512MB~2GB)、SDHC (4GB~32GB)、SDXC (64GB~512GB) ※Class 10以上 |
ファイルシステム | SD card: FAT16、SDHC card: FAT32、SDXC card: exFAT |
録音フォーマット | WAV(BWF) |
再生フォーマット | WAV、BWF |
サンプリング周波数 | 44.1k / 48k Hz |
ビット長 | 16 / 24 bit |
録音可能チャンネル数 | 最大12チャンネル (10チャンネル + 2ステレオミックス) |
入力した素材それぞれをパラ収録できるので、現場で収録してあとで簡単に整音し直すことができます。
2MIXも同時に録音ができるのもいいですね。
Model 12のBluetooth接続について
Model 12はBluetoothの接続に対応しており、Bluetooth対応のスマホやパソコンなどとの接続が簡単に行なえます。
以下、Bluetoothの規格になります。
Bluetooth® | |
バージョン | 5.0 |
出力クラス | Class 2 |
見通し通信距離 | 約10m ※ |
対応プロファイル | A2DP |
対応A2DPコーデック | SBC、AAC |
A2DPコンテンツ保護方式 | SCMS-T |
※通信距離は目安です。周囲の環境や電波状況により通信距離は変わる場合があります。
Bluetoothペアリングについて
Model 12のBluetooth PAIRINGボタンを押すとLEDが点滅し、接続モードになります。
接続したい端末のBluetoothをONに設定し、Model 12が表示されたら接続を行います。
ペアリングが完了したらModel 12のASSIGNを9/10に切り替えると、フェーダーの9/10にBluetooth接続した端末の音が立ち上がります。
スマホやタブレットで音楽を再生し、それを聞きながらボーカルを収録するような使い方をする場合に非常に便利ですね。
注意ポイント
9/10のフェーダーに立ち上げたBluetoothの音は、HAで上げることができません。
Model 12にはデジタルトリムが付いていないので、音量が小さい場合はスマホなどの端末側で音量を上げる必要があるので注意です。
Model12のメリット
Model 12のメリットについては、以下のとおりです。
- Bluetooth5.0での接続が可能
- 16種類の内蔵エフェクターが便利
- SDカードによるマルチ収録が可能
- アナログミキサーならではの操作性
- EQ、コンプはほどよく掛かって使いやすい
- これだけの機能がありながら価格が7万円台
非常に多機能でありながらリーズナブルなミキサーとなっており、かなり使える機材だと思いました。
音楽収録やYouTube、ニコ生、ちょっとした行事でのPA出しなど、さまざまな現場で使用できる優秀なミキサーですね。
Model12のデメリット
Model 12のデメリットについては、以下のとおりです。
- 1kといった基準信号が出ない
- ファンタムの切り替えが入力端子に対して一括
- (0dB程度の)大きいレベルはXLR端子では受けられない
上記の理由から、コンデンサーやダイナミックマイク、別のミキサーとの接続をよく行うテレビやラジオといった放送業界での使い方には、もしかしたらあまり適さないかもしれないです。
簡単なトーク番組のミックスくらいであれば、Model 12で十分対応できると思います。
まとめ:Model 12は非常に優秀な小型ミキサー
Model 12は非常に多機能でありながら7万円台の低価格を実現しているのは非常に優秀な機材と言えると思います。
ほとんどの場面でModel 12だけで仕事こなすことができるため、とりあえず1台所有しておくのは良いかもしれないですね。
Amazonでの購入も可能となっておりますので、下のリンク欄から確認のほどお願いいたします。